立原道造 受容と継承
定価:本体4,500円+税
最期の飛翔のゆくえ
高原の夏、風の声、水のせせらぎ、雲の流れ、愛、夢、そして失われた永遠の青春……。
郷愁に満ちた立原の詩には、しかし、かすかな悪意がやどり、毒が香り、模倣の手つきが垣間見える。
リルケ、堀辰雄、芳賀檀などからの影響や、和歌引用の精査を通し、早すぎた晩年、立原がなそうとした最期の飛翔のゆくえに迫る。
目次
序
第一章 「方法論」における存在への問い
一 「方法論」を論じる上での問題点
二 「住み心地よさ」なる「建築体験」
三 人間存在と建築の探求
四 「人間的生の自己超越」から芳賀檀へ
第二章 和歌引用の作品──建築思想との接点──
一 「はじめてのものに」
二 立原道造同時代の本歌取り評価
三 立原道造の建築思想
四 「のちのおもひに」
第三章 「ふるさと」探求と芳賀檀
一 盛岡の立原道造
二 芳賀檀との邂逅
三 「ふるさと」喪失
四 危険ある所、救ふ者又生育す
第四章 リルケ受容と芳賀檀『古典の親衛隊』
一 中間者と超克
二 『風立ちぬ』論解読
三 『古典の親衛隊』のリルケ理解
四 『古典の親衛隊』のリルケ理解の立原への移入
第五章 恋愛詩に表された愛の諸相──「別離」の構図──
一 悲恋から愛の成就へ
二 安住と出発
三 「別離」という愛の試練
四 リルケ 芳賀檀
第六章 模倣と実存→公開中
初出一覧
著者
名木橋忠大(なぎはし・ただひろ)
1971年山形県生まれ。
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。
現在、中央大学文学部特任教授。
主な著書に『立原道造の詩学』(双文社出版、2012・7)、『立原道造新論』(新典社、2013・11)、『コレクション・都市モダニズム詩誌26 神戸のモダニズムⅠ』(編著・ゆまに書房、2013・5)等がある。