接続する文芸学
村上春樹・小川洋子・宮崎駿
定価:本体3,500円+税
物語を語り、読むことは、私を私ならざるものに「接続」することである。
語り論、比較文学、イメージ論、アダプテーション論を駆使して、村上春樹『騎士団長殺し』『多崎つくる』『ノルウェイの森』、小川洋子『ホテル・アイリス』『猫を抱いて象と泳ぐ』『琥珀のまたたき』、宮崎駿『風の谷のナウシカ』『風立ちぬ』などを論じる。
目次
はしがき
序説 接続する文芸学──語りの〈トランジット〉
Ⅰ 村上春樹
第1章 「壁」は越えられるか──村上春樹の文学における共鳴→公開中
第2章 運命・必然・偶然──村上春樹の小説におけるミッシング・リンク
第3章 見果てぬ『ノルウェイの森』──トラン・アン・ユン監督の映画
Ⅱ 小川洋子
第4章 小川洋子と『アンネの日記』──「薬指の標本」『ホテル・アイリス』『猫を抱いて象と泳ぐ』など
第5章 小川洋子と〈大人にならない少年〉たち──チェス小説としての『猫を抱いて象と泳ぐ』
第6章 小川洋子『琥珀のまたたき』と監禁の終わるとき──『アンネの日記』とアール・ブリュットから
Ⅲ 宮崎駿/宮澤賢治
第7章 液状化する身体──『風の谷のナウシカ』の世界
第8章 宮崎駿のアニメーション映画における戦争──『風の谷のナウシカ』から『風立ちぬ』まで
第9章 変移する〈永遠の転校生〉物語──伊藤俊也監督『風の又三郎 ガラスのマント』
注
あとがき
初出一覧
索引→公開中
著者
中村三春(なかむら・みはる)
1958年岩手県釜石市生まれ。東北大学大学院文学研究科博士後期課程中退。博士(文学)。北海道大学大学院文学研究院教授。日本近代文学・比較文学・表象文化論専攻。
著書に『〈原作〉の記号学 日本文芸の映画的次元』(七月社)、『フィクションの機構』1・2、『新編 言葉の意志 有島武郎と芸術史的転回』、『修辞的モダニズム』、『〈変異する〉日本現代小説』(以上、ひつじ書房)、『係争中の主体 漱石・太宰・賢治』、『花のフラクタル』、『物語の論理学』(以上、翰林書房)、編著に『映画と文学 交響する想像力』(森話社)など。
書評・紹介
- 2022-04-22「週刊読書人」
評者:千葉一幹(大東文化大学教授) - 2022-07-09「図書新聞」
評者:高橋由貴(福島大学准教授)