井上靖 未発表初期短篇集
定価:本体2,400円+税
昭和の文豪、知られざる二十代の軌跡
作家の死後、自宅から発見された文壇デビュー前の草稿群を初公刊。
雑誌の懸賞小説用と思われる作品は、ユーモア・ミステリ・時代物と多彩なジャンルで、まだ大学在学中であった井上靖のバイタリティと才気が溢れている。
未発表のまま長くしまわれていた、戦後唯一の戯曲「夜霧」(後の作風にも通じる、シリアスな作品)も併せて収録。
目次
Ⅰ ユーモア小説
昇給綺談→公開中
就職圏外
Ⅱ 探偵小説
復讐
黒い流れ
白薔薇は語る
Ⅲ 時代小説
文永日本
Ⅳ 戯曲
夜霧
翻刻・校訂にあたって──各作品の特記事項
解説──小説「猟銃」への序章 高木伸幸
未発表初期作品草稿解説 曾根博義
著者
井上靖(いのうえ・やすし)
1907年旭川市生まれ。京都帝国大学文学部を36年に卒業後、毎日新聞大阪本社へ入社。50年「闘牛」で芥川賞受賞後、毎日新聞社を退社し、以降数々の名作を執筆する。『天平の甍』で芸術選奨文部大臣賞、『氷壁』で日本芸術院賞、その後も毎日芸術大賞、野間文芸賞、読売文学賞、日本文学大賞などを受賞。76年文化勲章を受章。
編者
高木伸幸(たかぎ・のぶゆき)
1966年埼玉県生まれ。広島大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。ラ・サール中学校・高等学校教諭をへて、2009年より別府大学准教授、2014年より教授。専攻は日本近現代文学(主に井上靖や梅崎春生)、昭和文学史、戦後文学、国語科教育法。著書に『井上靖研究序説──材料の意匠化の方法』(武蔵野書房、2002年)『梅崎春生研究──戦争・偽者・戦後社会』(和泉書院、2018年)。
書評・紹介
- 2019-04-04「毎日新聞」朝刊
- 2019-05-09「日経新聞」夕刊
評者:陣野俊史(批評家) - 2019-05-12「産経新聞」朝刊
評者:重里徹也(聖徳大学教授) - 2019-05-26「サンデー毎日」
評者:岡崎武志(ライター) - 2019-07-01「日中文化交流」
- 2019-06-15「図書新聞」
評者:宮﨑潤一(大東文化大学特任准教授) - 2019-07-27「聖教新聞」