沖縄芸能のダイナミズム 創造・表象・越境
定価:本体2,800円+税
喜怒哀楽が歌になり踊りになる
琉球の島々で育まれた「民俗芸能」、王朝で生まれた「宮廷芸能」、近代メディアによって広まった「大衆芸能」など、多彩でゆたかな沖縄芸能の数々。移民と共に海を渡った踊りや、電波にのって日本全国に届けられた歌など、芸能は沖縄内にとどまることなく、現代に至るまで、時空をこえてさまざまな展開を見せている。伝統と変容の間でゆらぎ、時代の変化に翻弄され、それでも人々のアイデンティティであり続けた沖縄芸能の300年を、さまざまなトピックから描き出す。
目次
序にかえて/三島わかな→公開中
Ⅰ 舞台芸能のいま・むかし──規範と多様性
第1章 八重山の祝宴に関する一考察──祭儀と饗宴/飯田泰彦
コラム① 鳩間の港の物語──加治工勇の音楽活動/飯田泰彦
第2章 近世における組踊をめぐって──上演作品・舞台・小道具、そして近代への伝承/鈴木耕太
コラム② 新作組踊の作者──大城立裕と進化する組踊/鈴木耕太
Ⅱ 表象のゆくえ──継承と創造
第3章 伝統芸能の〈担い手〉とは誰か──現代から問い直す組踊の継承/呉屋淳子
コラム③ 「マースケーイ歌」の旅──長浜眞勇の伝統へのまなざし/呉屋淳子
第4章 地域の音文化は電波に乗って──戦前のラジオ番組にみる沖縄イメージ/三島わかな
コラム④ 戦後沖縄放送の黎明──川平朝清の情熱/三島わかな
Ⅲ 越境する想い──伝播と移動
第5章 エイサー伝播の現代的状況──沖縄本島北部・中部・南部の事例から/久万田晋
コラム⑤ 「琉球國祭り太鼓」の躍進──目取真武男と創作エイサー/久万田晋
第6章 ふるさとへの希求──ハワイ沖縄系移民と芸能/遠藤美奈
コラム⑥ ふるさとへ帰ってきた芸能──仲宗根文通・宮里松と与儀エイサー/遠藤美奈
第7章 三線に積み重なる価値と人間関係──大阪の事例から/栗山新也
コラム⑦ 伝統を建て直す──仲嶺幹と三線業界改革/三島わかな
音楽・映像資料紹介
あとがき/久万田晋
編者
久万田晋(くまだ・すすむ)
沖縄県立芸術大学附属研究所教授。民族音楽学、民俗芸能論。
『沖縄の民俗芸能論──神祭り、臼太鼓からエイサーまでー』(ボーダーインク、2011年)、『日本民謡大観 沖縄奄美 奄美諸島編』(共著、日本放送出版協会、1993年)
三島わかな(みしま・わかな)
沖縄県立芸術大学附属研究所共同研究員、同大学音楽学部講師。音楽学、洋楽受容史。
『近代沖縄の洋楽受容──伝統・創作・アイデンティティ』(森話社、2014年)、『文化としての日本のうた』(共著、東洋館出版社、2016年)
書評・紹介
- 2020-06-06「毎日新聞」
- 2020-06-06「沖縄タイムス」
評者:徳丸吉彦(聖徳大学教授・お茶の水女子大学名誉教授) - 2020-06-06「琉球新報」
評者:奥中康人(静岡文化芸術大学教授) - 2020-06-18「八重山毎日新聞」
- 2020-06-22「八重山毎日新聞」
評者:千葉茂之(古書カフェうさぎ堂) - 2020-08「ミュージック・マガジン」
評者:大石始 - 2020-08-08「図書新聞」
評者:細川周平 - 2020-08「琉球沖縄歴史」
評者:鈴木耕太
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