木地屋と鍛冶屋
熊野百六十年の人模様
定価:本体1,200円+税
森を渡り歩いた漂泊民と炎を操る孤高の職人
木地屋から身を起こし長者となった小椋長兵衛、疫病退散の題目塔で名を残す木地亀蔵、その製品の評判が海外にまで轟いた新宮鍛冶の大川増蔵。
幕末から近代にかけて、熊野の地で活躍した三人をつなぐ細い糸をたどり、その末裔たちの現在までを追った人間ドラマ。
目次
まえがき
第一話 椎茸長兵衛──祖神の縁起を伝え持つ
第二話 金借り道──庄屋まで一札入れる
第三話 新たな発見──先祖への想いが実る
第四話 大義院──縁ある人をひとまとめに
第五話 賀田村──買った山林で潤う
第六話 木地亀蔵──長兵衛とつながる糸は
第七話 題目塔──疫病退散の願い込め
第八話 新宮鍛冶──入鹿、三輪崎鍛冶が合流
第九話 大川増蔵──新宮の川原町で開業
第十話 キリスト者──尾鷲で接し、新宮で洗礼
第十一話 熊野川町畝畑──出会いの縁の不思議
あとがき
著者
桐村英一郎(きりむら・えいいちろう)
1944年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。朝日新聞入社後、ロンドン駐在、大阪・東京本社経済部長、論説副主幹を務めた。2004年末の定年後、東京を離れて奈良県明日香村に住み、神戸大学客員教授の傍ら古代史を探究。2010年秋から熊野市波田須町で暮らしている。三重県立熊野古道センター理事。熊野に来てからの著書に『熊野鬼伝説』『イザナミの王国 熊野』『古代の禁じられた恋』『熊野からケルトの島へ』『祈りの原風景』『熊野から海神の宮へ』『一遍上人と熊野本宮』『木地屋幻想』『熊野山略記を読む』などがある。